ありふれた話

2003年11月8日
 世の中の、どのくらいの人が「幼馴染」を持っているのだろうか。それが、異性となるとどうなのだろう。

 その呼び方が当てはまるのかどうかはわからないが、そういう子は、いた。主に幼稚園までの話だが。
 食べ物をこぼしたり、ボタンを掛け違えたりシャツをベロンと出したりと恐ろしくだらしない自分の世話を常に焼いていたらしい。
 
 幼稚園卒園時に転校し、その後しばらくして向こうも転校してしまったのだが、その後しばらく、小学校3,4年くらいまでだろうか。遊びに行ったり来たりしていた記憶がある。
 まで、というのは理由があって、その子のお母さんが、若くして癌で亡くなってしまったのだ。基本的に母親同士の付き合いにくっついていった関係なので、その後は自然と疎遠になり、それからは顔も見ていない。訃報を聞いたときの、母親の顔は今でも脳裏に焼きついている。

 そして、その時の葬式に自分は行かなかった。理由はよく覚えていない。学校はあったのだが、そのせいだったのか。とにかく、泊まりに行った先で自分を出迎えてくれて一緒に風呂まで入った人が死んだ実感が全く湧かなかったし、ぴんと来なかったのもある。女の子のことを気にかけている、なんて思われたくない。そんな小学生らしい、あまりにも下らない事を考えていた様な気もする。母も、あまり勧めなかった。

 しばらく前、写真を整理していたら、そんな昔の写真が出てきて、色々と思い出した。なるほど、確かに二人で写っている写真、それも引っ張られているような写真が多い。

 向こうのお母さんの件が、いつまでも心の奥底に沈んでいるような感覚を、昔から断続的に覚えている。
 何で行かなかったのか。最後のお別れをしなかったのか。一言行きたい、と言えば良かったのに。と。

 中学の時には、その子と同じ下の名を持つ子が転校してきた時に何か考えた事があり、高校の時には、東京の大学に入ったら再会するのかもな、なんてなんとなく、根拠もなく考えていた。いや、中学の頃からかもしれない。

 最後に母親経由で中学生くらいの時に聞いた話だと、スポーツが得意で陸上部に入り、弟と父親の弁当も作ってあげながらやっていっているという。

 結局、大学時代に会うような事はなかったし、会っても判らないだろうなと思う。引っ越したと言うような話も聞いた。すっかり忘れていたのだが。

 写真を再発見したからではないと思う。それは、一ヶ月以上前の話で、それを見たときはそこまで深くは思い出さなかった。
 それが、つい最近鮮明に夢に見てしまった。それで、なんとなくその事が頭から離れない。夢に意味を求めたりはしないのだが。
 特に好きだったとか、初恋だったとかいうわけではない。そういうのはかなりオクテだった。ただ、あの時手を合わせていたかった、と。その子に一言何か言ってあげたかったな、と。そう思っているだけ。

 ただ単に、そう思っているだけです。

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