新本格

2003年6月2日
最近、ここ数週間になるのだが、本格推理をよく読んでいる。法月綸太郎と、我孫子武丸。それに、有栖川有栖を少し。宮部みゆきは前から好きだったが、読み残しを読んでみたり。ただ、この人は本格ではないか。
 「模倣犯」を古本でやっとの事で見つけたので読んで見たところ、大いにはまり込んだ。のめりこんだ。辞書2冊分並の分量を、殆ど一気に読ませるだけの文章と構成。すごい。自分で小説を書いてみようと思っていたのだが、自信をなくしてしまうほど。長すぎるとの意見もあるし、既に起った事件を後から色々な人の視点で追っていくのでじりじりしてしまい、早く続きが知りたいのに、と不満に思う事もあったが、それこそがこの作家のうまいところだろう。

 本格では特に法月綸太郎が好きで、ざっと数え上げてみると、「雪密室」「頼子の為に」「再び赤い悪夢」「一の悲劇」「二の悲劇」「法月綸太郎の冒険」「法月綸太郎の新冒険」あたりか。

 特に「一の悲劇」が絶妙だった。パズル的要素としても、物語的要素としても上手い。それに短編集の「法月綸太郎の冒険」。この人の本を読んだ後に有栖川有栖のを読むと、あまりにもナゾナゾしすぎているように思える。短編でバランスを取るのは難しいと思うのだが、それがよく調和しているのではないか。

 ただ、あまりにもそういったものを読みすぎたから、しばらくはお腹一杯かもしれない。食傷気味。宮部みゆきがドリームバスターを書きたくなる気持ちも分かるというもの。

 そんなわけで、法月綸太郎は好きなのだが、その文中に、非常に気になる内容があった。確か、「二の悲劇」だったか。
 出版業界を、「稀に見る遅れた業界」と書いているのだ。それ自体はまぁ良い。いくら実力主義をうたっても、世襲制の企業ばかりである。が、話の中にもっとひどい話があった。それが、
 実力ある作家に、若手の女性社員を「供物」として捧げる、というもの。弱小は、そういう事が普通にあるとか。

 非常に微妙で、あくまでも小説家の書いた小説の中での話である。うそ臭い。しかし、小説家が書いているからこそ真実味を帯びるという一面もあるのではないか。
 出版業界の男女平等、どうなのだろう。女子学生に人気があるのは、男女平等というイメージも強いからではないかと想像するが。男女意識はともかく、売るためなら何でもしそうな気はするが・・・

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