本の読み方

2003年5月8日
 『殺戮にいたる病』という本を読んだ。

 唸った。

 しかし、この本においては唸ったという事それ自体がネタバレのような感もある。色々と感想を持ったのだが、言えない。その、言えないという事自体が既に何らかを示唆している事に繋がってしまうから。

 小説というのは何も考えずに読むのが正しいと考えている。ミステリ好きなどはよく、トリックを見破ろうとしながら読んでいるようだが、そういう見方はあまり好きではない。この人が怪しい、とかここに伏線が、という考え方は、それが読者だから出来る事であって、登場人物には出来ない事だ。登場人物は、例え雪山の山中という外界から遮断された状態でバラバラ死体が見つかったとしても、外部の殺人鬼の存在を疑い続けるだろう。その中で、登場人物に感情移入しきって読むから、小説は楽しい。

 様々な事を読者にしか取りえない視点で疑いながら、結果としてそれでもトリックが驚きに満ちた物だったら良い。しかし、少しでもそう感じなかったら、せっかく金を出したのに損ではないか。トリックは全く分からなかったけれども、「こういう年齢が対象の物語で、こういう人物は除外するからこいつが怪しい」と睨んだこいつが犯人だった、という展開に金を出す価値はあったのかと思ってしまう。そこで怪しいと睨む理由は、読者にしか持ち得ないものなのだから。
 
 逆に言うと、どれだけ物語りに入りこませられるかに作者の手腕が問われるわけだが。

 入り込む、感情移入をする方だと思う。だからジャンプも面白く読めるのかもしれない。ジャンプで先を読んではつまらない事は分かりきってるのだから。
 ひたすら無心で読んだ方が楽しみが大きいのは、どんな物語も同じ。

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