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 やはり再販制度は無くしていく方向にあるべきだと思う。売れない作家の本は安売
りして多くの人に読んでもらえば新作を買って貰う事にも繋がるだろう。実際ブック
オフで100円で買った本の作家を好きになって単行本を定価で買ったこともある。

 しかし、ヨーロッパの例を持ち出すまでもなく本の安売りをすると言う事は文化の
破壊につながると言う声があるのも知っている。大規模書店しか残らずベストセラー
しか販売されなくなるというのだ。

 だが、この状態とはまさに現在の状況ではないのか。中小書店はベストセラーに雑
誌といった画一的な品物しか置かない。否、委託販売制のため置けないのだ。それで
なくとも今、書店は明らかに多い。個性の無い書店が建ち並んでいるのだ。

 この際、ベストセラー以外はインターネットによる販売に移行してしまってはどう
だろうか。品揃えと言う点でどんな書店もネットには及ばなくなる日は近い。それで
は書店は必要ないかというとそうではない。そこで再販制度を緩和すればいい。

 書店には本の割引販売を認めるのだが、その割引率、店全体でどのくらい割引でき
るかををある程度決めて、各本屋の裁量に任せるのだ。

 例えばある店は小説のみを安くするだろうし、ビジネス街のそばにある書店は実用
書を安くする事だろう。そうした店がビジネス街に建ち並べば逆に文芸書を安くする
書店が現れて儲けるかもしれない。老人や学生にのみ全ての本を割引する書店という
のも良いかもしれない。

 何にせよ、各書店は知恵を絞るであろうし個性も出るのではないか。テロ事件が
あった後はイスラムの歴史本をどこもこぞって値下げするだろうし、そんな中、児童
書を安くする頑固な店があったりするのではないかと想像する。

 品揃えよりも、値段で個性をつける。そうすれば自然と品揃えも個性的になってい
くのではなかろうか。

 ネットでは割引はさせない。させてもネット書店全体で一つの書店と見なす。割引
率は同じにする。

 また、雑誌も安くすれば良い。1日前の新聞などは10円にしたって良いし、1週間前
の週刊誌は半額以下でも良いだろう。一部ではあるようだが初回特典や、まとめ買い
特典をつけるのも面白いし、アイディアはそれこそいくらである。

 色々考えてみたのだが、こういう事を実はやりたかったりする。書店を受けてみよ
うと思ったのはそういう動機があったからだが、あまりにも裁量がなさそうなのでや
めた。紀伊国屋のESにこんな感じの事を、思いを書いたらあっさりと落とされたので
ますます行く気がなくなった。こう言う事を提案するにはどこに行けばいいのであ
ろうか。

 考える事をやめた業界に未来はあるのだろうか。――――――

 どう考えたって品揃えに関して、書店よりインターネットの方が優れているのだから、実際のところ書店の利点というのは「立読みが出来る事」と「すぐに手に入る事」そして「送料がかからない事」くらいであろうか。

 平積みにする事による販促効果は、ネット上でも様々な趣向を凝らす事で代用できるし、書店員の推薦文なぞよりは、読者からの感想の投稿の方がはるかに本を選ぶ時の役に立つだろう。

 普通に考えると、そのうち書店はただの本の受取所、送料をを浮かす為にまとめ買いした本を貯めておき、受け取りに来るだけの場になる。

 しかし、売れ筋の本などは「受取所」に置いて置くだろうし、そういう本があるかなと思えば、わざわざパソコンを開いてめんどくさい注文をする事もないか。
 
 立読み機能にしても、インターネットで全ての箇所を閲覧可能にする事はないだろう。が、雑誌を一気に立読みする習慣、文庫をパラパラとめくる習慣があるからこそ衝動買いをする機会も生まれてくるわけで、この利点はネットでは生まれまい。

 そうすると、それらのために「受取所」に集まる人の為にある程度以上の本は置いておく必要があるし、置いておくべきか。インターネットでの本の売り買いは、時間差がある分よく売れる本こそ取り扱うべきでない事になる。逆に、マイナーな本、書店でも取り寄せ注文する必要のある本こそネットの独壇場か。

 結局本屋とは、そこに行けば何でも揃っているというくらいの大型書店以外はベストセラーのみを置いておくだけの存在になってしまうのか。

 しかし、本屋の匂いが好き、という人は多いし立読みの利点というのは様々な本を好きに手に取る事が出来る、本と「出会う」場所としての意義は軽んじられるものではない。事実、軽んじられていない。
 かといってそれだけの為にあるのでは本屋はやはり成り立たない。何か付加価値をつけなければ。ネットのほうにペナルティーを課してもよいが、そんな規制はすぐに無くなってしまうだろう。

 そこまで書いてみて今更思うのは、本をインターネットで買おう、という発想は自分には全く無いという事。欲しい時にはすぐにでも欲しいし、それほどでもないのなら、じかに手にとって選んでみないと買う気にはなれない。

 案外ネットでの本の売り買いというのは定着しないかもしれない。今本屋が潰れているのは単にオーバーストアだっただけかもと思う。

 反対にネットでの売り買いを促進する為に何をすればいいか考えてみると、やはり強みはマニアックな本を簡単に発見出来ること。それに繋がって検索機能。最後に、情報通信の早さだろう。

 今まで書いたことと矛盾するが、ある程度のボリュームの情報。本当に本ではない「情報」程度ならばその場でプリントアウトできるネットの方が便利だ。100文字いくらでばら売りできるのも強みだろう。それを検索する。学術論文や、古典資料などはこの上なく役に立つ事だろう。

 現実の本屋のカバーしている、そういう面は奪われるが

 共存、できるかもしれない。

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