ペルソナ

2002年9月10日
十二国記を読んだ。

 とはいっても最初の一冊だけではあるが。

 なかなかに面白い。なるほどなといった感想。書評で取り上げられるのがなるほどなと。

 ただ、学校での描写が気になった。
 友達は要するに皆、上辺だけの付き合いだと。合わせているだけで実は友達なんかではない、と。自分もそうやってそれぞれの場で自分を作っているのだ、と。

 最近そういう話がやたらと多い気がする。そういうのが受けるんだろうか。「本当の自分を〜」とか「素顔を出していない〜」やら。

 良いじゃないかと思う。取り繕ったって。取り繕ってる自分もそれもまた一つの自分だし、本当の自分なんて素晴らしいものがどこかにある、なんて無根拠も甚だしい。

 ましてや人間関係なんてそんなものだ。人それぞれに合わせた自分というものがあり、それは当然である。学校の先生に向けた自分と友達に向けた自分が全く変わらない人間なんていないのと同様、どんな人に対してもその人用の、自分がある。それぞ
れが全て本当の自分だ。上っ面の自分もそう。その上っ面を選んだのは自分なのだから。

 上っ面で友人関係が始まるのは当然だ。初めから親しくなど出来ないのだから、親しいような顔で付き合っていく。けど、いつまでも上っ面というのはありえない。
 人は、その制服に合わせた自分になるもの、とはナポレオンの言だったか。この場合の制服とは様々な場合に当てはまる。いいじゃないか、上っ面でも。それが段々と自分になっていくのだから。

 本当の自分を、という考え方は嫌い。そういう風に考えている自分もまた自分であるはず。
 
 仮面をかぶることを疎んで、素の自分を見つけたい、あるいは作りたいと考える。仮面の複合体が自分であるに過ぎない。たまねぎみたいなものだ。全部中身だって事。

 十二国記自体は十二分に面白かった。

 実世界で内気で傷つきやすくて、異世界で冒険をして人の優しさに触れて、実世界に帰ってメデタシメデタシ。
そういう典型的なファンタジー(玄人からは嫌われる)話から2捻りくらい加えた、という印象。

 これが高評価なのはよくわかる。よく分かるのだが、これが高評価ならやはり、ライトノベルは色眼鏡で見られているのだなといった感じではある。

 一番最初に普通に「魔性の子」を出したのが良かったという事か。

 
 

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