ゆとり教育

2002年9月7日
 教育関係の出版社を受ける事が多いのでこの問題についてはよく聞かれるのだが、考えをまとめていなかった。

 ・学習内容の3割削減
 ・基礎的反復演習の削減
 ・総合学習の導入(生きる力)
 ・週休二日制

 こんなところなのか。結局どこがどういう風になったのかは指導要領を読まないとよく分からない。

 週休二日制でまず思いつくのは教師の休みは週休二日じゃなかったんだなという事。時代の流れに乗ってそうした・・・日教組の組合活動の成果か?

 ならば学ぶ内容はそのままに、週休二日は不可能かというとそうでもあるまい。同じ内容をスピードアップは出来るだろうし、土曜の授業なんぞ一つか二つなのだから振り分ければよい。

 それで、詰め込み暗記教育に対する反省から覚えるべき内容は絞る。絞った上で重点的に覚えるのではなく理解させようとする。うん、それで、出来た3割の時間は総合学習に当てる、と。

 それまで10あったものを、覚えるのが大変だからと7の内容にして、その代わりにその内容を全員に理解してもらおうとする。その事が興味を持つ事に繋がるのではないか、と。反復演習の積み重ねや暗記も、それじゃ無味乾燥でつまらないから興味を持つために、なぜそれがそうなるのかを重点的に教える。
 
 面白さを知ってもらえれば上の段階で勉強しようという意欲も湧くだろう。暗記ではなく内容を理解すれば応用も効くようになるのではないか。

 そんなところで良いのだろうか。
 
 あ、ただしこれらは最低限のラインであって出来る子にならもっと発展的な内容を教えても良い、と。
 ん?そうすると中学受験で何を出題しても良いという事か?その辺はどうなんだろう。よく分からない。

 総合学習ってなんだ。

 個々の教師に任される。英語を導入している学校が6割、と。ボランティアに課外活動。

 思うのは、家庭でやるべき事をやる為の時間が総合学習の時間なのか、という事。義務教育以前の英語教育ってのは必要だと思った家庭でやらせるべきではないのか。家庭で出来ない事を学校に押し付けようとして、その結果が総合学習の時間と学習内
容の削減につながったという因果関係は成り立つのだろうか。

 そんな事より、せっかく内容を削減したのなら勉強する時間はそのままかむしろ増やさないとダメじゃん。理解できない。7割の内容を7割の時間でやったんじゃ結局暗記する内容が減っただけって事じゃないか。

 学習内容は三割削減しても、教科書の内容まで削減する事はないんじゃないか。歴史なんてよく、現代史までは手が回らなかったりしたもんだ。同じ様に、手が回らないけど、載ってるってのは無益ではないような。

 暗記は・・・まぁつまらない。理解出来るなら理解した方が良いと思う。

 それで、暗記する事が学習する事と同義になってるような科目と、もっと大事なのは世間の風潮が、暗記する部分が減る=学力低下(というよりは指導力低下なんだろうが)という風になる訳で。本当に理解出来るのならば、覚える事は減らしてもまぁ問題ないか。文学史なんて暗記は止めて、その分文学を多く載せるのは悪かない。

 そうかそうか、その判別が出来てないんだな。漢字なんぞ覚える以外の何者でもないのに、漢字の成り立ちを多く時間割いて、覚える語を減らしてもしょうがない。やるなら既存の数と同じにして、その上で成り立ちを教えればいいんだ。

 両者をごっちゃにするからだめなんだな、きっと。従来の無味乾燥な暗記じゃ意味ない勉強もあるけど、無味乾燥にしなきゃいけない部分もある訳で、それを一緒くたにするのがよくない、と。
 数学なんか論理学なんだから公式を覚えて当てはめる勉強よりは途中式の仕組みを理解した方がいいというのは分かる。
 うん、3.14は覚えなくてもいいかも。その代わりに円周率はどういうものかを理解してれば3.24と覚えていても問題はないか。

 ん?知識重視から知恵重視への転換は別にゆとりとは何の関係もないような。

 あぁ、偏差値教育時代の「帰ったら冷めたご飯を食べてすぐに塾」っていうのも改革の対象になるのか。だからゆとり、と。家族と触れ合って家庭問題少年犯罪は解消、と。

 だったら総合学習はいらない、なぁ。

 なるほどね。問題点は
 「学習内容を減らすのに、学習時間も減らしたら意味がない。」
 「なのに知恵も教えなければならないから手が回らない」
 「総合学習の時間を取ったのに家庭にいる時間を増やしている」

 といったところか。
 知恵と暗記両方やろうとするならば逆に時間を増やさなければならないし、暗記する部分としなくても良い部分に分けて、後者に関して知恵の教育にすればいいのに、その分ける作業が出来てないって事か。上手くいけば時間は変わらない上に質がたかまるが。質は高まるが、学習内容は減る。というか暗記内容だな。

 ただ、そもそもの考え方として、面白く思うようにして、良い所を引き出すってのは本来の教育の目的とは違うと思う。高等、大学教育はそうかもしれないが、義務教育だからな。面白いと思った事は言われなくても勉強するし、そこは教師の力量あまり関係ない。
 面白く思うかどうかってのは結局人それぞれなんだから、面白く思う素質がある人向けじゃダメだろ。面白く思わない人でも、それを学ぶ必要はある訳で、そのための義務教育な訳だから。理解できればそれに越した事はないが、それが出来ない人でもやっぱり60年前にアメリカと戦った、とか複利計算の仕方、とか覚えてなけりゃいけないと思うのだが。
 良いものを引き出すのはもっと上の教育で、義務教育ってのは、なければ困るものを教養として身につけさせる段階だと思う。

 愚民化政策ってのは違うような気がする。国民の教育水準が高い事で成長してきた国だから、下げちゃったら税金が減るし。だったらまずすべきは私立に対する助成金カットだろうから。

 

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